Apertureを使って4つのステップで簡単にRAW現像する方法
May 11, 2013
簡単なRAW現像の方法と、表現意図にあわせたRAW現像について記事にします。現像ソフトはApertureを使用。RAW現像ソフトはひと通り試した結果Apertureがダントツで使いやすく、ここ6〜7年は写真管理も含めてApertureしか使ってません。
RX1で家の中で適当に試写した写真を使って説明します。なんの変哲もない写真。
この写真を補正してJPEGで書き出したのが以下の写真。JPEGで撮ったものでもある程度の補正はできますが、ここまでの補正を加えると色が飛んだりノイズが出たりして写真が劣化します。
補正したのは「露出」「コントラスト」「彩度」「レベル」の4つの項目。
具体的にどうやったのかというと、まずは「露出」補正。一般的に白いものは光をたくさん反射するため、この写真のように画角の大部分を占めるのが白いものだと写真は暗く写りがちです。身近な例では、白い皿にのった料理や、ウェディングドレスを着た女性を写す場合など。逆に黒いものは光を吸収するため、黒い服を着た人などを写すと写真は明るく写りがちです(素材や環境によっても異なります)。まずはそれを補正します。「露出」のスライダを右に動かして今回は1.5にしました。この写真はモニターの明るさも拾っているので尚更暗かった。
次に「レベル」補正。左のスライダ(シャドウ)を少し右に、右のスライダ(ハイライト)を少し左に動かすと写真がグッとひきしまります。それでも足りない場合はまんなかのスライダ(中間色)を左右どちらかに動かして調整します。なお、中間色のスライダを大幅に動かす必要がある場合は「露出」補正が適正でないので、やり直しましょう。
大事なのはこの「露出」と「レベル」の2つ。「露出」補正だけで満足いく写真になった場合は「レベル」補正はスキップしても大丈夫だし、もともと「露出」が適正な写真は「レベル」補正だけで大丈夫です。もちろん、どちらの補正も不要な場合もあります。トーンカーブを使った補正方法など他にもやり方はありますが、この方法が一番簡単に大きな変化を感じやすいので、これからRAW現像を始めるという方にはとくにお勧めの方法です。
残りの「コントラスト」と「彩度」は写真の雰囲気を決定付ける仕上げの作業。僕は両方とも+0.05〜+0.10程度の補正が好みです。今回は「コントラスト」を0.05に「彩度」を1.1にしました。
以上で修了です。慣れれば一枚あたり10〜20秒程度で終わります。たったこれだけで写真の見栄えを大きく変えることができるのがRAW現像の魅力。慣れたらホワイトバランスやRGB毎のレベル補正など、調整項目を増やしていくと表現の幅が広がります。
表現意図にあわせたRAW現像
かつてフィルムが主流だった時代には、表現意図にあわせてフィルムを選び現像方法を変えていました。それがいまやパソコン上ですべて「撮影後に」行える時代。上記基本補正プラスアルファで写真がどう変化するのか、昨年7月にミャンマーのバガンで撮影した女の子の写真を使って説明します。カメラはEOS 5D Mark II、レンズはEF24mm F1.4L II USMの組み合わせ。
日差しが強烈な日に日陰でこの画角で撮ってしまったため暗く写ってしまいました。余裕があるときはプラス補正したり、スポット測光するなどして撮るべき写真。フルサイズだと余裕があるから横着癖が。
少し明るめに露出補正したのがこの写真。うしろのハイキー部分が飛んですっきりしました。新緑の葉、紅葉した葉、コスモスの花弁などをアップで透かしたように撮るときなどによく使う手法です。
上の写真をベースにコントラストを0.15、彩度を1.2に補正したのが以下の写真。
SNSに投稿して一番ウケがいいのがこのくらいの派手さの補正(笑)
さらにコントラストをあげ(0.5)逆に彩度を下げた(0.8)のがこの写真。
一転してノスタルジックな雰囲気になりました。海外の写真家にこのような表現を好む人が多い。
今回は説明を省いた項目ですが、色温度、ブラックポイント、中間コントラストなど調整項目を増やしていくと以下のような表現もできます。
という感じで、RAWで撮っておくと撮影後にこれだけのことができます。JPEG撮りとの比較で写真1枚あたりのファイルサイズが大きくなるというデメリットはあるものの、失敗した写真を救済できたり、表現の幅が広がったり、撮影時には細かい設定を気にせず被写体に集中できたりと、デメリットを補って余りあるメリットがあります。とくに旅行時であれば撮影はさっと済ませてその他色んな経験に時間を割きたいものです。
自分の場合、旅行中に500枚の写真を撮ったとして、RAW現像するのはせいぜい200枚程度で、そのうち100枚をiPhoneやiPadに入れ、50枚をFacebookに投稿するようなスタイルです。大事な写真は意外と少ない。こうして選別し、精製していく過程が大事なような気がします。