SONY DSC-RX1を1年半使ってみて思うこと(作例100枚超)

October 1, 2014

RX1を使い始めて1年半が経過しました。撮影枚数は約7,700枚。長い間使ってみて感じた良いところや悪いところ、使用感などの長期レポをつらつらと書いてみます。後半では、様々なシーンで撮りためた写真、主に旅先で撮った写真を作例として紹介します。この1年半で香港(2回)、マカオ、タイ(4回)、チェコ、ドイツ、ネパール、カンボジア、沖縄などあちこち訪れました。

僕はプロではないので、多少ピントを外した写真やノイズが気になる写真なんかも気にせず載せます。こういう場面で注意が必要なんだなと、読み取ってもらえれば幸いです。


まずは良いところから

RX1を1年半使ってみた感想を一言で表すと「圧倒的な画質とコンパクトさに大満足」それに尽きます。一眼を使っていた頃はボディとレンズの総重量が1.5kg前後で、常に持ち歩くということはできず、状況や気分に応じてメインカメラとサブカメラといった使い分けが必要でしたが、いまはどこへ行くにも何をするにも気軽にRX1を持って行くことができるので、必然的にきれいな写真の割合が増えました。例えば、友達の誕生日会とかバーベキューといった、コンデジやiPhoneで済ませていたちょっとしたイベントごとに持って行くカメラもRX1になるわけです。日々撮影する写真のなかでのきれいな写真の割合が体感で2割から7割に上がった印象。この差は大きい。

ボディがコンパクトだとRX1とともにT3のようなフィルムカメラを携帯する余裕も生まれ、さらに写真ライフが充実しました。昨年10年ぶりに訪れたプラハにはRX1とともにハッセルを持って行ったんですが、フルサイズのデジタルカメラと中判のフィルムカメラを同時に旅行に持って行くなんて以前は考えられなかったことです。これもRX1のコンパクトさあってこそで、旅行好きの自分にとって、最高の旅カメラと言えます。

こういった満足度は購入当初から極めて高く、RX1を使い始めて数ヶ月後には5D Mark IIや交換レンズ一式を処分するに至ったのですが、これにより、それほど親しくない友人の結婚式やライブなど、面倒な撮影の依頼を気持ちよく断ることができるようになりました(笑)「もう一眼処分しちゃってこの小さいの(=RX1)しか持ってないんだよ、ごめんね」と。それから、旅行前にどのレンズの組み合わせで出掛けようと悩んだり、新しいレンズを試してみたい衝動に駆られて要らぬ出費(メインカメラ・サブカメラ)が増えたりと、そういった面倒ごとからすべて解放され、思考がシンプルになったことも思わぬ副産物かな。ひとつひとつは小さなことでも積み重なると大きくて、大袈裟に聞こえるかもしれませんが、生活の質が向上したとさえ言えます。以上がRX1を使って感じた良いところ。


続いて、悪いところや気をつけるべきこと

これは購入前から分かっていたことなのでわざわざ書くほどのことでもないのですが、一応フェアに書いておくと、やはりAFの遅さは少し気になります。とくに暗いシーン。撮影の対象が速く動く子供、ペット、スポーツなどの場合は難儀するでしょう。XY方向に動く被写体はとくに問題なく、問題なのは、Z方向を含む予測不能の激しい動きをする犬などをカメラで追いかけながら、よきタイミングでピントを合わせて撮影するようなケース。要はカメラとの距離がほとんど変わらない動体であれば問題ありません(状況によってはコサイン収差など考慮すべきですが)。まぁ一眼を使っていても置きピンなどのテクニックが要求される場面なので、相対的にRX1だけが苦手なシーンというわけではありません。

続いてはAFの精度について。暗いシーンで迷うことがあります。例えばこういうシーン。

2枚ともフレキシブルスポットを使って顔の位置にピントを合わせたんですが、うしろの商品にピントが合ってしまいました。それから、猫の目にもピントが合いにくい。慣れるとそうしたピントが迷うパターンがわかってくるので、注意深く撮影して、撮影後に確認すればこの問題はクリアできます。こういったシーンでは顔検出をオンにしたり、MFで撮るのも手です。

注意すべきは人に撮影を頼む場合。下の写真は、このサイズだとわかりにくいかもしれませんが、ピントも外れているしブレています。ピントが多少外れても大丈夫なようにと多少絞ってカメラを渡したことが仇となり、その場で気づくことができませんでした(念のためにもう一枚撮ってもらっていてそちらは大丈夫でした)。一般の方に撮影をお願いする場合は開け気味で撮ってもらった方が、モニタで確認した際にピンぼけに気づきやすいかもしれません。フルサイズの被写界深度は浅い。

続いてバッテリーについて。自分の場合は撮ったとしてもせいぜい1日100~200枚程度なので問題ありませんが、たくさん撮る人は予備のバッテリーがあった方がいいかもしれません。毎日計画停電があるネパールを訪れた際は充電のサイクルに気を遣い、予備バッテリーがあると便利だなと感じました。


失敗写真から見る、RX1のイメージセンサーの底力

それではRX1の作例を紹介します。これ以降の写真はクリックで拡大します。まずは失敗写真の救出例から。奥の明るいところに露出を合わせてわざとアンダー気味に撮ってみました。

そしてRAW現像時に+5.0の露出補正を加えたのが下の写真。まさかここまで暗部にきちんと色が残っているとは思わず、ただただ驚きました。この辺りはSONYのフルサイズイメージセンサーの実力ですね。余談ながら、SONYのイメージセンサーはSONY製品のみならず、Nikonの高級機などにも採用されています。

条件にも依りますが、RAW撮りであれば、基本的に日中屋外のある程度光がある場所での撮影はそこまで露出に神経質になる必要はありません。逆に、撮影時に過度の増感をしてセンサーの限界を超えてしまうとハイライト部が飛んでしまいます。RAWといえどその部分の情報量は少なく、RAW現像時に減感しても絵が出てきません。なので、撮影時は難しいことを考えず、どちらかというとオーバーよりもアンダーに転びやすいカメラ任せの露出そのままで撮るのがいいのではないでしょうか。理想は+1〜-1程度の露出補正はその場でできた方がいいんですけどね。


日々の暮らしや、出掛けたときの写真

高円寺の阿波踊りにて。先ほど動体を撮る際のAFについて言及しましたが、慣れると問題なく撮影できます。多少暗いシーンであっても。

F2.8にて。鼻にピントを合わせると目がうっすらボケます。

金魚を撮るのは難しかった...。モニタを見ながらMFの置きピンで狙ってみましたが、少し外れました。

室内でISO 6400で撮り、RAW現像時に+1.4増感したところ、少しノイズが出ました。


香港

続いて旅先での写真。ペニンシュラホテルでアフタヌーンティー。香港は過去4回行っていますが、霧が多かったり曇っていたりで、屋外ではなかなかいい写真が撮れません。


チェコ

1枚目は出発前の成田空港、2枚目は経由地ヘルシンキ・ヴァンター空港、3枚目以降はプラハとチェスキークルムロフ。最初から最後まで晴天続きで気持ちいい旅でした。


ドイツ

プラハから日帰りでドレスデンへ。ここでも晴天続き。


ネパール

ネパールでも晴天に恵まれました。ナガルコットとカトマンズに滞在。ネパールに行くなら晴れる確率の高い乾季がお勧めです。朝焼け、朝の雲海、夕焼け、そして星空もきれいで、朝から晩まで忙しかった。順に夕焼け、朝焼け。


カンボジア

通算5度目のカンボジア。現地に駐在する友人たちとフットサルをしたり、ライブを聴きにいったり、地元に帰ったように過ごしました。雨季で天気が悪かったせいもあり、あまりいい写真は撮れず。

ピント面を等倍で切り出してみました。すばらしい解像感。


タイ

アユタヤで出会ったご機嫌な赤さん。


沖縄

RX1で撮った写真がとあるフォトコンテストでグランプリを獲り、賞品としてペアの沖縄旅行をいただきました。カヌチャベイのアゼリアスイートに泊まることができ、これだけでカメラの元が取れました(笑)


写真をふりかえってみて

こうして写真を見返していると、我ながら、よくぞここまで使い倒したなと思います。また、天気は写真の良し悪しを決める重要なファクターだなと改めて感じました。チェコ、ドイツ、ネパールは晴天が多い季節を狙っての旅行だったのですが、いざ行ってみると狙い通りの晴天続きで、写真の満足度も旅の満足度も極めて高い結果になりました。逆に、天気なんて気にせず夏休みにぷらっと友達に会いに行った雨季のカンボジアでは、やはり天気に恵まれず、いい写真はあまり撮れませんでした。旅の目的が異なるのでこれはこれでよかったのですが、わざわざ持って行ったハッセルは全然使う気になれず、12枚撮りのフィルム3本を消費したのみ。天気は大事です。

来月ハワイに行くので、気が向いたらまた作例をあげます。なお、タイ編やネパール編は過去に別途作例記事をあげています。
・タイ編はこちら
・ネパール編はこちら

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